2024/11/18 12:47

前回のコラムの冒頭で述べた通り、ジオラマ製作や模型作りでどのようにパーツ同士を接着するかを考える際、単に素材だけではなく、容器の形状や仕様、接着方法や順番、接着剤を付けた後の固定方法など、様々な点を踏まえて、最適な接着剤を選ぶ必要があります。
2回目の今回は、形状・仕様についてです。接着剤の形状や容器の種類によって、作業のしやすさや仕上がりに大きな影響を与えます。適切な形状の接着剤を選ぶことで、効率的かつ正確にパーツを接着することが可能です。
1. チューブタイプの接着剤
一般的なチューブタイプの接着剤は、細かい部分への塗布がしやすく、使い勝手が良いのが特徴です。キャップを閉めることで保存が簡単で、持ち運びも便利です。チューブの口が詰まりやすいため、使用後はすぐにキャップを閉めるなどの注意が必要です。
チューブタイプは最も一般的な形状ですが、これ以外の形状もあります。
2. ボトルタイプの接着剤
ボトルタイプの接着剤は、内容量が多いので、地面などの広い範囲や一定の厚みで塗布する際に便利です。筆やスプレーノズルなどが付属していることが多いのが特徴です。
このタイプは、大面積の接着やベース部分の固定に最適です。ただし空気と接する面も大きいので、こまめに蓋を閉めないと乾燥して使い物にならなくなってしまいます。また量が減ってくるとふたを閉めても空気が入ってしまうので(私はこれで1回ほとんどダメにしてしまいました)、回数を分けての使用はあまり想定されていないような気がします。

3.瓶タイプの接着剤
ボトルタイプと基本的には同じです。付属の筆で塗る形になるので、細部に塗りやすい、精密な作業に向いています。

4.スプレータイプの接着剤
缶に入ったスプレータイプの接着剤は、広い範囲を均一に接着できるのが特徴です。薄い紙や布などの軽い素材に適しており、速乾性があるため短時間での作業が可能です。
背景用の紙や布、フィルムなどの広い範囲を均一に貼り付ける際に便利です。背景に大きな模様や壁紙を追加する際に特に役立ちます。
噴霧範囲が広いため、周囲に接着剤が飛散しやすく、接着剤がついてほしくない範囲をマスキングしたり、紙を置いてくっつかないようにするなどの工夫が必要です。
木に枝を付ける際に私もよく使います。ボンドを指で付けた場合と、スプレーで塗った場合の比較が下の通りです(パウダー・ベースの木は全て同じです)。スプレーのりの方が満遍なくつくので葉がこんもりした感じになりますが、ボンドの場合はまだらである分隙間から枝が見えたりと、一長一短ありますね。

5 ペンタイプの接着剤
ペンタイプの接着剤は、細かい部分にピンポイントで塗布できるため、非常に精密な作業に向いています。スリムな形状で取り回しが良く、狭い場所にも接着剤を付けやすいのが特徴です。
ペンタイプは細かなディテールの接着や、修正作業に便利です。ミニチュアやジオラマのアクセサリーなど、精密なパーツの接着に最適です。ただし当然、接着剤の量が少ないため、大きなパーツには不向きで、広範囲の作業にはコストがかかります。

6. 極細ノズル
チューブやボトルタイプに取り付けられる極細ノズルは、細かい部分や難しい場所に正確に接着剤を塗布できるオプションです。ミニチュアのディテール部分や狭い隙間にも簡単に接着剤を塗ることができます。
製品に付属する場合もありますが、別売りで売られていることもあります。極細ノズルは詰まりやすいため、使い切りで割り切るか、使用後に清掃する必要があります。

7. 使い切りタイプの接着剤
使い切りタイプの接着剤は、少量の接着作業に向いており、必要な分だけ使い切ることで余分な接着剤を保存する必要がありません。
基本的には、一度開封すると再利用できないため、量の調整が難しい場合もあります。必要な分だけを確保して使うことが大切です。

いかがでしたでしょうか?様々な接着剤の中から最適な接着剤を選ぶヒントになれば幸いです。続くコラムでは、接着方法や順番、接着剤を付けた後の固定方法についても説明していきます。